無心を目指さない、「ゆるっとメディテーション」のススメ。
気付けばもう10月も半ばを過ぎ、秋の夜長を満喫している方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな「○○の秋」に何か新しい習慣を取り入れてみたい方や、長くなるおうち時間をさらに充実させたいと考えている方にもおすすめのプチ習慣、
瞑想(=メディテーション)についてご紹介します。
その起源は約5000年も前に遡るといわれているメディテーション。
GoogleやAmazon、メルカリといった名だたる企業がビジネス戦略の一環として取り入れたことで、日本でも徐々に認知度が上がってきているのではないでしょうか。
その一方、メディテーションと聞くと
「とにかく雑念を消して無にならなきゃいけないイメージ」
「スピリチュアル系?」
「難しそうだし、ちょっとアヤシイ感じ」
「そもそも効果あるの?」
と、なんとなくハードルが高い、一部の人が行うアヤシイ儀式のようなイメージを抱く方が多いのも事実です。近年では、一口に瞑想といってもヴィパッサナー瞑想、超越瞑想、マインドフルネス瞑想…と種類も様々。「で、結局のところ何を指しているの?」と少々混乱気味の方もいるかもしれません。
そこでこの記事では、ベーシックな瞑想の定義とやり方、そして実際に瞑想を習慣化した私が体感した効果を、できるだけシンプルにご紹介します。
<目次>
- 瞑想ってなあに?
- 「瞑想=無になること」は勘違い?
- 「実際どうなの?」私が実際に体感した効果
- おすすめの瞑想方法とタイミング
- 歯磨きする感覚で、瞑想してみよう!
瞑想ってなあに?
瞑想とは、シンプルに言えば「しずかに何かに集中する行為」のことを指します。
目を閉じないで行う瞑想もありますが、今回は目を閉じた状態で行う瞑想を例にしてご説明します。
目を閉じて行う瞑想とは、目をつぶる、または半目状態のリラックスした姿勢で一定時間、何かに意識を向ける方法です。ここでは呼吸へ意識を向ける方法を例にとってご説明します。
呼吸へ意識を向ける際には、おへその少し下を意識しながらはじめは深く、そして徐々に自分自身のリズムで鼻呼吸を繰り返していきます。頭の中に浮かんでくる様々な考えにもとらわれたり否定したりすることなく、まずはその状態をただ受け入れます。そして、次第にまたゆっくりと呼吸へ意識を戻していきます。
この瞑想を細分化すると、
① 私たちが日常的にさらされている視覚情報を遮断することで、
② 自分の内側で起こっている事象に気づき、
③ 意識を 現在 =「今この瞬間」 に向けていく
という流れになります。
一つずつかみ砕いてご説明します。
私たちは普段、意識的、無意識的にかかわらず、様々な情報を目から取り入れています。
同時に、頭の中では常に数えきれないほどの雑念が浮かんでは消え…という状態を繰り返しています。一日に七万個もの想念を抱くと言われる私たち現代人は、時にこうした雑念と現実世界の狭間で惑わされ、結果としてまだ起こってもいないことに対して不安を感じたり、過去の失敗や後悔にとらわれてしまうことが少なくありません。
試しにいま、数秒間だけでも目を閉じて、じっとしてみてください。
目の前にある視覚情報が遮断されたことで、自分の頭の中の騒音が一気に浮き彫りになったという方もいるのではないでしょうか。
まさにそうした状態に気づき、自分の心の中にあるものをただただ「ある」と認識することこそが、①と②で目指しているところなのです。
②で自分の頭の中の騒音や雑念に気づいた後、そこからまた少~しずつ意識を集中する対象に戻すのが③です。その手段として、呼吸に集中したり、ボディスキャンと呼ばれるような身体のパーツ一つひとつへ意識を集中させる手法があったりします(目を開けたまま行う瞑想では、目の前にあるどこか一点に意識を集中させます)。
よく言われる「無心になる」とか、「雑念を消す」というのは、③でよりクリアに何かに集中出来ている思考の状態を、ちょっぴりオーバー気味に表現していると考えてもいいかも知れません。
…ん?
瞑想って「無心」にならなくてもいいの?と感じた方。
そう。実は瞑想のゴールって、必ずしも無心になることだけではないんです。
「瞑想=無になること」は勘違い?
今でこそ瞑想を日々の習慣として取り入れている私も、その存在を知ってから実際に習慣化してみようと思えるまでにかなりの時間がかかりました。
そしてその主な理由が、「無心にならなければいけないのではないか」という思い込み、プレッシャーから来るものでした。
これは私が瞑想を勉強する中で学んだことなのですが、実際に瞑想でいわゆる無の境地と呼ばれる「悟り」にたどり着けるのは、厳しい修行を積んだ僧侶や玄人の中でもほんの一握りと言われるほど、実はすごく難しいことなのだそうです。むしろ呼吸へ集中しようとする過程で無意識のうちに雑念の海に流されてしまうのは、瞑想をする上では避けては通れない、ごくごく自然な現象なのだとか。
その事実を知らずに、「瞑想=無心になること」という独り歩きした概念に囚われていた私は、何度挑戦しても無心になれない自分は瞑想に向いていないのだと思い込んでいました。
実際にやってみるとわかるのですが、私もいまだに「今日のご飯は何にしようかな」、「次はこれをやって」…と瞑想中に脳内であれこれ考えを巡らせている自分に気付く瞬間があります。そして私を含め瞑想を始めた人が必ずと言っていいほど直面する壁が、こういった状態に焦りを感じたり、「やばいやばい、無になれないんだけど」とついつい自分をジャッジしてしまうことかと思います。
しかし、ここで焦らずにそうした事実をただただ受け入れ、淡々と自分の意識を呼吸へ戻していく…という本当に地味~な作業を繰り返すのが実際の瞑想です。
こうした地味な「瞑想のリアル」をあらかじめ知っておくだけでも、一度「無心」という概念から離れて、もっと気軽に瞑想にチャレンジしてみようと思えるのではないでしょうか。
「実際どうなの?」私が実際に体感した効果
瞑想がもたらすと言われる一般的な効果には、リラックス効果、ストレスレベルの軽減、集中力の向上、不安や抑うつ感情の軽減・改善等があり、まさに混沌とした現代を生きる私たちが抱える悩みにアプローチしてくれそうなものばかりです。
しかし、これだけ良い効果ばかりが並んでいると、つい「本当?」と懐疑的になってしまう心理も否めません。そのため、ここではあえて瞑想を日々の習慣にすることで私自身が感じた効果のみを書いていこうと思います。ちなみに現時点での私の瞑想歴は、半年と少しになります。
<日々の瞑想で実感している効果>
- ゆっくりと落ち着いて物事に対処できるようになった
- 事実と想像を区別して考えられるようになった
- 感情に振り回されず、目の前のことに冷静に向き合えるようになった
- 身体的な感覚をより意識するようになった
1.ゆっくりと落ち着いて物事に対処できるようになった
目を閉じて、ただひたすら呼吸に意識を向ける。
慌ただしい毎日を生きていると、わたしたちが自然とこのような状態になれることは意識しない限りまずないでしょう。
私自身、瞑想を習慣化する前は常に何かに追われ、生き急いでいるような感覚を抱えたまま日々をやり過ごしていました。心臓はドキドキと緊張状態、自分自身にフォーカスする余裕など一切なく、意識は常に外へ外へと向いていました(本当の問題は、いつも自分の内側にこそあったのですが…)。
私はまず、こんな感覚に思い当たる節があるという方にこそ瞑想を試していただきたいと思っています。
あえて自分と向き合うためだけの時間をとって、静かに、じっと何かに集中してみる。私自身も、こうした非現実的にさえ思えるような習慣を通して初めて、自分という人間と改めて向き合えている感覚が生まれたからです。はじめはざわざわと心が落ち着かないまま時間が過ぎていくかもしれません。それでも、普段自分が何気なく繰り返している呼吸を改めて意識するという時間を持つだけで、終わった後には不思議とさっぱりした爽快感を味わえると思います。
私は瞑想中にいつもより深い呼吸を意識するせいか、終わった後には穏やかな、でもどこかクリアな気持ちで物事に向き合える気がしていたのですが、これもどうやら呼吸と副交感神経の関係性によるものだということが分かりました。スポーツ選手が大事な試合の前に瞑想をするというのも、なんとなくわかるような気がします。
完璧ではありませんが、以前より一つひとつの物事を落ち着いた気持ちで対処できるようになったせいか、「頭の中は忙しく動き回っているのになぜかやることが終わっていかなくて焦ってしまう」という状態からはだいぶ卒業できたと感じています。
2.事実と想像を区別して考えられるようになった
先に述べたように、瞑想中は嫌でも自分の中の雑念と対峙することになります。
こうした雑念との対峙を通して自分の心の細部にまで意識が向くようになると、「自分は意外と心の中でマイナスのおしゃべりが多いな」とか「過ぎてしまったことに結構引きずられているな」と気づく瞬間が出てきます。
瞑想の中でも、特に目を閉じて瞑想を行う方法の良いところは、こうした自分の頭の中の出来事と、再び目を開けた時に目の前に見えている現実世界との区別がつきやすくなることだと個人的には感じています。この二つの境目がはっきりすると、実は日頃から自分が感情を乱されていたあれこれのほとんどは、自分の頭の中で作り出していた想像に過ぎなかった、という事実に気付けるからです。そしてたったこれだけで、それらのコントロールが驚くほど楽になります。
頭の中で過去や未来のことをあれこれ考えていても、実際に自分の目の前にあるのは「今」と言うゆるぎない現実のみ。私は瞑想を日常的に行うことで、この事実を普段から意識するようになりました。モヤモヤしたときに一度立ち止まり、「これは現実?それとも私の頭の中でだけ起きていること?」と自分に問いかけることで、実際にはまだ起こってもいないことに対する心配や不安に生活を支配されることが以前よりも圧倒的に減ったと感じています。
3.感情に振り回されず、目の前のことに冷静に向き合えるようになった
瞑想を始めて、自分はある意味ドライになったと感じることがあります。
それはおそらく、瞑想を通じて自分のあらゆる感情と冷静に向き合えるようになったことや、自分のコントロールできる範囲を知れたことが関係していると思います。
瞑想中に湧いてくる雑念をジャッジすることなく「ある」と認識する行為を日頃の感情にも応用すると、「いま、悲しい」とか、「いま、モヤモヤした」というように、全ての感情をジャッジすることなく、いったん認識することになります。
以前は「なんかわからないけどモヤモヤしたり焦ったりしている」という状態が日常茶飯事だった私ですが、この一度受け入れるというプロセスを挟むだけで、「で、なんでモヤモヤし始めたんだっけ?」と自分の感情と冷静に対峙出来るようになりました。
また、瞑想を通して事実と想像の区別をはっきりとさせたことで、実生活でも自分にコントロールできないあれこれ(他人の感情や未来の出来事など)に頭を悩ませることが少なくなりました。
以前は朝起きてから寝る直前まで、頭の中を様々な感情や思いが駆け巡っていたのですが、今はそれらを一つひとつの箱に分類して、淡々と事実だけに向き合うことが出来ている自分がいます。自分の中の感情は一生整理されないものと思って生きていた私にとって、実はこの効果が一番喜ばしいものであったりもします。
4.身体的な感覚をより意識するようになった
瞑想で呼吸に集中する練習をしているせいか、以前よりも自分の身体の感覚に敏感になりました。
例えば、食事中は味や匂い、舌触りといった感覚に以前よりも意識を向けるようになりましたし、外を歩くときなどは自分の呼吸や足の裏の感覚を自然と意識するようになってきました。そして今みたいにPCで何か作業をしているとき、自分はついつい呼吸が止まりがちだという事実にも気付けるようになりました(今では気付いたときに深呼吸しています…笑)。
こうした身体的な感覚を改めて見直してみると、常に動画や音声が聞き放題、情報は手の中の端末からいくらでも入手し放題、といった環境に置かれている私たちにとって、自分の身体の感覚にのみ集中する時間がどんどん減ってきていることに気付かされます。
私自身、以前は無音で何かをすることが耐えられず常に音楽やポッドキャストを流して「ながら」で作業をすることが多かったのですが、せっかくなので最近はその瞬間にだけ集中する時間を意識的に持つようにしています。
デバイスを何も持たずに散歩に出かけてみたり、ただ黙々と目の前にある野菜の皮むきに集中してみたり…といった時間を持つことで、まるで電磁波によって薄まってしまっていた人としての感覚をすこしずつ取り戻しているかのような気持ちになります。
こうして改めて振り返ってみると、以前よりもだいぶ心穏やかに、大事なことに集中して毎日を過ごせるようになっていることに気付かされました。
瞑想の効果としてストレスレベルの軽減や集中力の向上が謳われている理由が、なんとなくわかったような気がします。
おすすめの瞑想方法とタイミング
さて、いざ瞑想をはじめてみよう、と思ったときにいきなり無音で目を閉じて、何分間もじっとして…と考えると、なんだか少々ハードルが高いようにも感じます。
そんなときにおすすめなのが、ガイド付きメディテーションの利用です。
流れてくる音声(例えば「ゆっくりと目を閉じて、深呼吸をしてみましょう」、「だんだんと意識を身体のパーツへ向けていきましょう」など)に沿って動作を行うだけなので、非常にトライしやすく、音声パターンを変えれば飽きずに続けやすいです。
方法としては、YoutubeやPodcastにアップされている動画や音声を利用したり、瞑想アプリを使って行います。
おすすめのガイド付きメディテーション
Youtubeを利用する際におすすめなのが、吉川めいさんの呼吸法シリーズ。↓
瞑想を行う上での要ともいえる呼吸への意識を、徐々に身に着けることが出来ます。
ちなみに、私はCalmという瞑想アプリを使っています。
ガイド付きメディテーションアプリは種類も豊富なのでいくつか試してみたのですが、最終的にこれが一番しっくりきました(ガイドの方の声のトーンと、入っているテーマの種類で決めました)。
私はまず、このアプリのガイド付きメディテーションで飽きないように様々なプログラムを試してみました。最近はその日の気分によってガイド無しでタイマーで時間を測るか、アプリ内の癒し系音楽一曲分(10分程度)の時間で瞑想する方法を取っています(SilkとFree SpiritというNature Melodyがお気に入りです)。
「瞑想 アプリ」で検索すると様々なものが出てくると思いますので、いくつか試してみてご自分に合ったものを選んでみてください。
↑瞑想後に、毎回インスピレーショナルな一言を表示してくれるところも素敵です。
参考までに、瞑想アプリをまとめているサイトをいくつか貼っておきます。
【2020年版】マインドフルネス瞑想アプリおすすめ15選【無料あり】
瞑想を行うタイミング
瞑想するタイミングに関しては、いろいろ試してみて自分に合ったタイミングを見つけるのがベストです。
私の場合は毎朝、起きて携帯をチェックしたりあれこれ考え始める前に(まだほんのり脳みそが寝ている状態で半ば強制的に、笑)瞑想します。これにより朝からワーッと思考が爆発しなくなってきたのでしばらくは朝で続けようと思っていますが、以前は寝る前のリラックス目的で夜に行ったり、緊張する面接や会議の前に5分~10分程度の時間をとってやってみたこともあります。
時間も初めから20分などと長時間設定せず、まずは目を閉じて静かに3~5分程度座ってみるところからゆるっとスタートしてみると、続けやすいのではないかと思います。
歯磨きする感覚で瞑想してみよう!
いかがでしたでしょうか。
この記事を読んだ皆さんが、「瞑想=難しくて、怪しいもの」というイメージを少しでも払拭出来たり、「この秋 瞑想にゆるっとチャレンジしてみようかな」と感じられるきっかけ作りが出来ましたら幸いです。
瞑想はそれこそ、一度癖になってしまえば歯磨きのように「やらないとなんとなく気持ち悪い」というレベルになってきます。
「おうち時間が長くなってきて、何となくまたモヤモヤすることが増えたな」という方や、「リモートワークでいまいち休憩の切り替えがうまく出来ない」という方も、このタイミングでぜひ瞑想を日常の中に取り入れていただけたらと思います。
ちなみに、瞑想するためだけにじっとしている時間がない!という方は、気付いたときに意識して深呼吸をするだけでも心の持ちようがだいぶ違ってくるのでおすすめですよ!
まずはご自身の心地よいペースで、トライしてみてください。
それでは、素敵な瞑想ライフを!☆